光射す未来へ -2-

 夜──。

「月が出てると、空の桃色が薄く見えて綺麗だな」
「地球の夜とはまた違う美しさです」
「ああ」
 浜辺に座った俺とヘルムートは静かに寄り添いながら、波打ち際ではしゃぐブラウを見つめていた。

「次にまとまってお休み取れたら、地球にもまた遊びに行きます! 瑠偉くんにも衛さんにも会いたいです」
「そうだな、俺の親もヘルとブラウに会いたいってよ」
「千代晴。おれ、宇宙でイチバン幸せです」
「……俺もだよ」
 月明かりの下で唇を重ねようとした、その時。
「パパー! お腹すいたー!」
 ブラウの叫び声が浜辺に響き、俺もヘルムートも一瞬ビクリと体を震わせた。

「っ……、お、おう! そろそろ帰るか!」
 立ち上がり、うんと背伸びをする。
「しゅわしゅわの海、明日いっぱい泳ぐ! お爺ちゃんが背中乗せてくれるって」
「楽しみだな!」
「ブラウ、夜ごはんはソーセージ焼きますよ」
「やった! ソーセージ大好き!」

 俺はブラウを肩車し、ヘルムートと手を繋ぎ歩き出した。見上げれば、地球にあるのと同じ月が優しく海を照らしている。

「楽しいこといっぱい!」

 夜空に響く笑い声を、暖かな夜風が運んで行く。

 俺を見上げてはにかむヘルムート。

 その愛しい小さな手を強く握れば、遠くでクジラの歌が聞こえた気がした。

 ヘルムートのおもちゃ箱!・終