夏の思い出、作ります! -4-

「これまで色々考えたけどよ。……結局、優しくて素直なお前を嫌いになる理由なんかないもんな」
 俺の腕の中で、ヘルムートがくすぐったそうに笑った。

「おれも、千代晴が優しいから大好きです。優しいだけじゃなくって、おれのこと守ろうとしてくれたり……変なお話聞いても受け入れてくれたり、お仕事も一生懸命で、……」

 その大きな地球色の瞳に、照れた俺の顔が映る。

「千代晴はカッコいいです。顔も体も、心も……。おれにとって宇宙でイチバンの男の人です」
「そ、そんな過大評価されるとな……」
「ヘルムート・シュトロイゼル・クーヘンは生涯、大好きな千代晴だけを愛し尽くし続けます。おれの全部、千代晴の物です。心も、体も……涙の一粒一粒も全部、全部を千代晴に捧げます」

 瞳を潤ませるヘルムートを強く抱きしめると、ヘルムートの華奢な腕が俺をしっかりと抱きしめ返してきた。

「俺も、お前と子供を全力で守るからな。……何があっても、必ずだ」
「出会えて良かった……」
 腕の中のヘルムートが軽くなったと思ったその時、俺達の足は地面から宙に浮いていた。

「お、……」
 抱き合ったまま体が上昇し、見る間に別荘の屋根が目線の高さになる。

 俺にしがみつくヘルムートの体はほのかに発光していた。周りにはぽつぽつと丸い発光体も浮かんでいる。水中を泳ぐクラゲのように美しい光に包まれ、俺達は静かな星空をゆったりと飛んで行った。

「凄いな……空を飛ぶ日がくるなんて思ってなかった」
「へへ、おれの気持ちがいっぱいになって、……こうやってチカラの放出しないと、カラダ熱くなってしまいます」
「だ、大丈夫か? 体、具合悪くならねえか……」
「大丈夫です」
 ヘルムートの柔らかな金髪が俺の鼻先をくすぐり、思わずくしゃみが出そうになった。

「千代晴」
「……っくし! ん、……どうした?」
 柔らかな光を放つ小さな手が、俺の手を握りしめる。
 そのまま、ヘルムートが俺の手を自分の腹へと導いた。

「今、おれの中に新しい命があること、とても実感できています。おれと千代晴の赤ちゃん、お腹の中のタマゴに守られて一生懸命生きています」
「ほ、本当かっ?」
「……こんなに誇らしくて素晴らしい気持ち、初めてです」
「ヘルムート……!」

 堪らなくなって、俺はヘルムートの唇を塞いだ。
「ん、……」
 高ぶった俺に応えようと、懸命に舌を絡め返してくれるヘルムート。こんなことを教えてしまったのは俺だが──そのいじらしさが可愛くてキスが止まらない。

「……愛してるぞ、ヘル」
「おれも愛してます!」
 生まれた星が違っても、決して乗り越えられない壁じゃない。
 俺達はこんなにも愛し合っている。