静かな青の世界へと -9-

「ひう、う……あぁっ!」
「……気持ちいいとかは、まだ分かんねえよな」
「で、でも千代晴……おれ、気持ちい、です……」
 ぎゅっとヘルムートがしがみつき、へろへろの顔で呟いた。
「おれの心、……千代晴と一つになるの、すごく気持ちいいって言ってます……」
 こんな台詞、今まで聞いたこともない。俺の方が赤くなってしまいそうだ。

「千代晴も気持ち、いいですか……?」
「……すっ、げぇ……いい!」
「ふあっ、ま、またっ……あんっ!」
 引いた腰を打ち付け、また打ち付け、……何度も何度もヘルムートの中を貫く。次第にヘルムートの焦りの声に快楽が混じり始め、俺は更に腰の動きを速めていった。

「あっ、あぁっ……! すごい、です……! 千代晴、真剣な顔……カッコいい……!」
「余裕がねえツラ、って言うんだよ……!」

 白い肌が汗で光っている。大きな地球色の瞳が半開きになっている。唇の端から涎は垂れているし、突くたびに股間の可愛いそれが揺れている。

 まさか宇宙人とセックスする日が来るなんて。耳と尻尾以外の見た目は俺と変わらないせいか時折その事実を忘れるが、ヘルムートは確かに宇宙人で、第三王子で、元々はクラゲだった男だ。

「好きです、千代晴っ……もっともっと、おれの中いっぱいにして……!」
 だけどそんなことどうでも良くなるくらい、愛しい気持ちが止まらない。俺とヘルムートの遺伝子が一つになった子供が産まれるというなら、全部まとめて俺が幸せにしてやる。

 ──子供は奪わせない。絶対に。

「ヘル、……イきそうかもしれねえ、マジでこのまま出すぞっ……」
「お、おれも気持ちいいの、上がってきてます……。あっ、……あ、千代晴、赤ちゃん……おれと千代晴の赤ちゃん、……」
「っ……」
「ふ、ああぁっ──!」
 その瞬間は互いに強く抱きしめ合い、最後の一滴が吸い取られるまで俺はヘルムートの中を押し続けた。

「千代晴、キスしてください……」
「ん」
 軽いキスを交わしてから、改めて俺はヘルムートに告げた。
「俺も後悔なんかしねえ。お前と赤ん坊は絶対に俺が守るからな」
「……ずっと一緒です、千代晴」
「ああ、ずっと一緒だ」

 しあわせ。

 ヘルムートの呟きを心地好く聞きながら、俺はその白い腹に手をあてがった。