初めてのデートです

 静かな木曜日の朝。

「ん、……千代晴。昨日は先に寝ちゃってごめんなさい。……おれ、千代晴のこといっぱい気持ち良くします……」
「ヘル、……何言ってんだ、こんな朝っぱらから……」
「千代晴のここ、かちかちになってます。可愛い。──はむ」
「うぉっ……お、おぉっ……」
「んん、ちよはる……おいしい……」
「ヘルムートッ!」

 ──ありゃ。

「………」
 窓から降り注ぐ太陽の光。アラームが鳴っていないのは、今日が休みである証。
 ソファから飛び起きた俺は、夢の余韻に浸りながら思わず大きな溜息をついた。昨日はあの後すぐ寝てしまったから、結局射精できていない。だからこんな夢を見た訳だが、……まるで中学生だ。

「やっぱ朝一で抜いてくるか……って、うおっ?」
 見下ろせば昨夜はベッドに寝ていたはずのヘルムートが、俺の下半身に覆い被さって小さな寝息をたてていた。しかも全裸で、……パンツ一丁の俺の股間に頬を押し付けて。

「ば、馬鹿っ。何やってんだヘルムートッ!」
「ん、……んん。おはようございます、千代晴……。……あれ? 硬いです……」
 目を擦って俺の股間から顔を上げるヘルムート。ぽやぽやしている可愛い笑顔は天国だが、俺の下半身では真っ赤な煉獄の炎が燃え上がっている。天国と煉獄に挟まれて、俺は一体朝から何をしているんだ。

「お前、ベッドで寝なきゃ駄目だろ。布団かけてやったのに風邪ひくじゃねえか」
「夜に目、覚めちゃって……千代晴と一緒に寝たくなっちゃいました……ごめんなさい」
 その頭を撫でながら、股間のテントにちらりと視線を向ける。

「謝らなくてもいいけどよ、裸で寝てたら色々危ねえだろ。せめてパンツくらい穿けって」
 取り敢えず床に落ちていたヘルムートの下着(俺の新品をくれてやったものだ)を拾い上げ、ソファから降りてヘルムートの前に跪く。

「千代晴の、とっても大きいです……」
「大人だからな。ほれ、足上げろ」
 寝ぼけ眼のヘルムートに甲斐甲斐しくパンツを穿かせてやっている俺。朝からムラムラしているのに何をやっているんだという気分になる。

「はい、万歳して」
「んん」
 手際良く服を着せた後で、俺は台所へ行ってコーヒーを飲むための湯を沸かした。既に勃起は収まっている。しかし今日中にどこかで抜かないと、後々悲惨な目に遭いそうだ。
 幸い今日は休みだし、抜くだけならいつでも──

「地球の朝ごはん大好きです! この白い粒とスープの組み合わせ、最高です!」
「白米と味噌汁、な。まあその白米もごはんって呼ぶんだが」
「このネバネバも美味しいです。見て下さい千代晴、どこまでもネバネバ伸びていきます!」
「………」
 白飯の茶碗に味噌汁をぶっかけてかきこむヘルムート。
 納豆を大層気に入ったらしく口周りをネバネバにし、それを素手で拭いているヘルムート。
 俺はそんな彼にもはやツッコミを入れる気力もなく、黙って沢庵を口に入れた。