ありがとうとごめんなさいの夜 -6-

「気味悪いなんて思ってねえさ。クラゲちゃんとかヒトデとか、お前の星はだいぶファンタジーなんだな」
「クーヘンは水と緑が多い綺麗な星です! いつも暖かくて、あちこちにイチゴの実がたくさんなってます」
「へえ、平和でいい所だな」
「空はとても綺麗な桃色で、ソーダの海に、キャンディのお花、ビスケットの木とたくさんのフルーツ……星そのものがお砂糖菓子でできているみたいに美しいです」

 ──なんというファンタジーワールド。もはや地球での常識なんて一切通用しない絵本の国だ。

「……でも地球みたく色んな物ありません。背の高いお家とか、お店も少ないです。クーヘン平和だけど、少し退屈です。地球来てそれ分かりました」
 言いながら、ヘルムートはしゅんとなって肩を落としている。

 宇宙というだけで賑やかな近未来都市を想像していたが、どうやらそういう感じではないらしい。

「必要なもの全部みんなで手作りします。遊ぶ場所もほとんど自然の中です。食べるものは星から必要な分だけ頂いて、お料理できるひと達が作っています」

 どちらかといえば大自然の恩恵を受けて生きている民族なのだろう。そうなると空の道を走っている電車とやらも、「シュッポッポー」みたいなのんびりした物なのかもしれない。

「だから地球来て良かった! 昨日も今日もわくわくしてます」
「そうか。まぁ、こんな星で良ければ観光と思って楽しんでってくれよ」
「はい! ……」
 嬉しそうに笑ったまま静かになったと思ったら、すぐにヘルムートが寝息を立て始めた。

 ──全く、風呂にも入らねえで。しかもベッド占領しやがって。
 仕方なく裸の体に薄い布団をかけてやり、俺はソファに腰を下ろした。
「……ていうか、俺イッてねえし……」