ありがとうとごめんなさいの夜 -2-

「うおっ……!」
 そしていきなり下着がずらされ、反動で既に硬くなった俺のそれが飛び出した。
「わ。千代晴の、……カッコいいです」
「その顔で、……そういうこと言うなっての」
「いっぱい気持ち良くします……」
「う、あっ……!」

 ヘルムートの唇が真上から被せられ、そのままズブズブと飲み込まれて行く。柔らかく温かい舌の感触がペニス全体を包み込み、まるで──
「ん、ん……。ふ、ぅ」
「くっ、は……」
 まるでヘルムートの口の中でセックスしているみたいだ。

「んぅ」
 頬を膨らませて俺のそれをしゃぶっている宇宙人。口に溜まった先走りの体液を躊躇なく飲み込み、また咥え込んで優しく舌で愛撫される。
 俺は荒い呼吸を何度も繰り返し、ヘルムートの柔らかい金色の髪を撫でた。

「ぷは……。千代晴、気持ちいいですか?」
「ああ、正直やべえっていうか……上手いなお前、慣れてるのか?」
「するの初めてです。でもクーヘンの王子、十五歳過ぎたら準備のためにこういうこと本でたくさん勉強します」
 準備。来る結婚や繁殖期に向けての、子供を産むための準備──。

「男の人喜んでくれること、いっぱい勉強しました。王子、セックスは生涯一人の人としかしちゃいけない掟です」
「………」
「おれの生涯一人の人、千代晴になりますように……」

 胸が痛んだのは、その「教育」が相手のためだけのものということだ。
 もしもヘルムートが地球に来なかったら……彼の言う「嫌な結婚相手」と結婚し、これまで得た知識とその体を使って繁殖のためのセックスを強いられることになるのだろう。

 相手の男の悦ぶことだけを徹底的に行ない、一方的に男を受け入れ、愛があるかも分からないセックスで身ごもることになる。
 そんな運命が生まれた時から決まっていたなんて。

「っ……!」
「わっ、ち、千代晴っ……?」
 瞬間的な衝動に突き動かされ、次の瞬間俺はヘルムートをベッドに押し倒していた。
「あ、……」
 俺の下で、ヘルムートの目が大きく見開かれている。

「……セックスはしねえよ。嫌だからじゃない、よく考えてえからだ」
 スキンを着ければいいという問題じゃない。生涯一人の男としかセックスできないなら、俺だってそのつもりでコイツを抱きたい。
 だけど今その答えを出すにはまだ早過ぎる。俺がヘルムートとセックスするのは彼が俺を好いてくれているのと同じくらい、俺も彼を愛した時──すなわち、彼と彼の子供を生涯守り養って行くと決意した時だ。

「だから今は、……お前が勉強してないことを教えてやる」
「………」
 性欲に対する言い訳を口にした俺を見て、見開いていたヘルムートの目が嬉しそうに細くなった。

「知りたい……おれ、千代晴が教えてくれること、全部全部知りたいです……」
 壊れ物を触るように、優しくヘルムートの頬を撫でる。心地好さそうに目を細めているヘルムートの反応は、今まで関係を持ってきたどんな奴よりも可愛かった。