ラブ&サンドイッチ! -7-

「はあぁぁ……。もう、嵐のような時間でした……」
「亜利馬、大丈夫……? ……ありがとうね」
 丸めたティッシュをゴミ箱に放りベッドに身を投げ出した俺は、隣で息を弾ませている大雅にキスをしてから囁いた。
「超展開だったけど……良かったね大雅」
「……ん」
 視線を逸らし、頬を染めて小さく笑う大雅。たまに見せてくれるこういう幸せそうな笑顔が、俺は大好きだ。

「風呂お先」
 シャワーを浴びて出てきた竜介さんが、タオルで頭を拭きながら言いにくそうに大雅に訊ねる。
「ところで大雅、……本当にこれからはタチ専になるのか?」
 まだネタバラシしていなかったことに気付いて、俺は起き上がり竜介さんに向かってニッと笑った。
「竜介さんは、ウケやってる時の大雅の方が好きですか?」
「俺はどっちも好きだぞ。ひっくるめて大雅の良さだと思うしな」
 まさに大正解。
大雅に限らず獅琉さんや潤歩さんだって、タチウケどちらも良さがあるからこそファンも多いのだから。

「………」
 しかし大雅は嬉しいながらも納得していない様子で、寝たまま竜介さんの方を見ずに口を尖らせている。
「……でも竜介、タチの俺の方がエロいって言った」
「ん? ああ、それはそう思うぞ。見慣れないせいもあるかもしれないが、タチに回ってる時の大雅はエロい。亜利馬もそう思うだろ?」
「お、俺は……まあそうなんですけど」
「タチの大雅はウケの時には見せない一生懸命さが伝わってくるから、見ている方も燃えるんだよな。初めはぎこちなさもあったが、ここ最近のVでは立派にタチもこなせている」

 大雅がベッドから身を起こし、竜介さんを振り返った。

「あれは大雅が自分で研究して、努力した結果だろ。俺はウケの練習にしか付き合えないからな。モデルとして成長していくお前を見るのは、やっぱり俺としては感慨深いものがあるよ。エロいと言ったのは正しい評価だと思ったんだが……何か悩んでたのか?」
 俺も大雅も沈黙し、同時に頬を赤くさせた。

 竜介さんが個人的趣向ではなくモデル目線でタチ大雅を褒めていたと知り、二人とも自分が恥ずかしくなったのだ。
 大雅は根本的な部分で勘違いしていた自分を。
 そして俺はヨコシマな気持ちで大雅に対し「性癖として興奮する」とか「ギャップ萌え」とか、変態的な考えを持っていたことを。

「竜介さん……」
「どうした、亜利馬」
「色々すみません……。そして、大丈夫です。大雅はもう何一つ、一ミリも、悩んでなんかいません。タチ専になることも絶対にないので安心して下さい!」
「そ、そうなのか、大雅?」
「………」
 ベッドを降りた大雅が、シャワーを浴びたばかりの竜介さんに無言でぎゅうと抱き付く。大雅にしては大胆な行動だ。……きっとそれほど嬉しかったのだろう。

 そんな大雅の頭をいつもと同じ優しさで撫でながら、竜介さんが笑った。
「何だかよく分からんが、お前達もシャワー浴びてくると良いぞ。その後で飯でも食いに行こう!」
「わっ、行きます! ていうか俺、ご飯食べてないの今気付きました」
「後で獅琉や潤歩とも合流するか」
「賛成です! 大雅、早くシャワー浴びよう!」
 竜介さんに抱き付いた大雅を引き剥がし、俺はニヒヒと笑って大雅の頭を撫で回した。竜介さんみたいに優しく気持ち良い撫で方はできないけれど、何だかんだと振り回してもらった今日のお礼だ。

「良かったね、大雅。……成長できてるって褒めてもらえるなら、俺もタチに挑戦してみようかなぁ……」
「それは駄目」
「えぇっ、即答!」
 大雅に続いて、ドライヤーのコンセントを繋ぎながら竜介さんが「ああ、それは駄目だな」と笑った。
「そ、そんな駄目ですかね……?」

 まだまだ俺にタチは早いということだろうか。それよりもウケとしての成長が先ということ……なのかもしれない。

「……が、頑張らないと!」
 俺は大雅の手を強く握り、決意新たに大股歩きでバスルームへ向かうのだった。

 ラブ&サンドイッチ!・終