ラブ&サンドイッチ! -3-

「でもさ、それはVの中だけの話でしょ? 普段竜介さんといる時の大雅はウケ……っていうかネコなんだから、別に悩む必要ないんじゃない? プライベートでは爽やかな俳優さんが『悪役やってる時の方がカッコいい』って言われるのと同じことじゃないの?」
「……考えすぎて、よく分かんなくて」

 要らんことを深く考え込んで、悩んでしまいがちな俺の親友。
 周りにとっては「悩む必要ないだろ」なことでも、本人にはかなり重く圧し掛かっているということを俺は知っている。大雅は今まで相談できる友達がいなくて、ずっと一人で色々なことを抱え込んできたのだ。

 だけど今は、大きな悩みも小さな不安も相談できる仲間達がいる。そんな大雅が俺を頼ってくれたというのに、「考えすぎだよ」で片付けるなんて俺にはできない。

「でも俺もタチ役の時の大雅は、表情とかがエッチだなって思うしさ。これってタチウケ関係なくて、単なる男目線で見た場合なのかもしれないよ? 獅琉さんも言ってたよ、タチの大雅は妙に色っぽくて可愛いって」
「……そうかな」
 駄目だ。俺や獅琉さんがどう思うかではなく、大雅にとって重要なのは「竜介さんから言われた言葉」なのだから。

「『エロい』っていうのは単なる褒め言葉だと思うよ。ほら、タチの大雅っていうのは、普段の竜介さんからは絶対に見られない大雅の顔じゃない。だからこそ余計に新鮮なんじゃないかな?」
「……そう思う?」
「うん。そういう意味での『エロい』だと思うよ。竜介さんて素直な性格だから、別に大雅を悩ませようと思って言ったんじゃないと思うな」

 そうだよ。その辺は大雅の方が良く分かっているはず。竜介さんは言葉に裏の意味なんて持たせない素直ではっきりした男なんだから、ただ額面通りの褒め言葉として受け取れば良いのだ。

「タチの大雅がエロいからって、竜介さんは大雅にタチ専になれなんて言わないでしょ。タチの方が合ってるから今後は大雅のことはウケとして見ないなんて言わないでしょ?」
「……うん……」
「っていうのが俺の見解だけど、……もしどうしても気になるなら竜介さんに直接訊いた方が良いと思うよ。言いにくかったら俺から訊いてみても良いし」

 多分、本人の口から聞いたところで俺と同じ答えが返ってくるだけだ。だから本当はそれが一番の解決策なのだけど。
「ううん……平気」
 大雅は「答え」を聞くのが怖くて仕方ないのだろう。

 そこが大雅の可愛いところであり、同時に、心配になる部分でもある。
 竜介さん以外のことでもきっと、不安なまま答えを聞かずにやり過ごして来たことが沢山あるのだろう。負う必要のないダメージで大雅が傷付くというのは、例え過去のことであっても辛い。

 俺はベッドから降りて床に膝をつき、大雅の頭を両手で優しく抱きしめた。
「大丈夫、大丈夫。心配ないない。……はあぁ、可愛いなぁ大雅ってば」
「亜利馬」

 俺の腕の中で顔を上げた大雅が、普段通りの無表情で言った。

「今から亜利馬のこと抱くから、タチの時の俺がどうエロいのか教えて」
「……へ?」