ラブ&サンドイッチ! -2-

 そうして寮の401号室、大雅の部屋。

「大雅の相談ってことは、竜介さん絡み?」
 すっかり常温になっていたペットボトルの白桃ジュースを少しずつ飲みながら、俺は大雅のベッドに腰を下ろして訊いてみた。
「……亜利馬、俺の最新作見た? 先々週に出たやつ」
「もちろん。『まるごとたいが』でしょ? ポップなタイトルからして総ウケモノかと思ったけど、タチ役のチャプターもあったし大雅ファンにはすっごい好評なんじゃない?」
「………」
 床に座って目を伏せた大雅は、少しむくれているようだ。……何かまずいことを言ったのだろうか。

「亜利馬は、あの中でどのチャプターの俺が一番良いって思った?」
「えっ」
 俯いたまま真剣な声で問われて、俺は内心冷や汗をかいていた。
 大雅はどうやら並々ならぬ想いを胸に、俺にそれを訊ねているらしい。とても「全部のチャプターを一日ずつ見て、その全部で抜いた」なんて言える雰囲気じゃない。

「え、えっと……俺は、……ちょっと待ってね、いま頭の中で会議するから」
「……早くね」

 やはり俺自身がウケ専だからか、タチ役をしている大雅にはグッとくるものがある。
 無表情なのに若干頬を染めて「ん、ん」と突かれる度に小さく喘ぐ大雅もめちゃくちゃ興奮したけれど、やっぱりタチに回っている時の大雅の方が数倍エロく感じたのは確かだ。

 七つあったチャプターのうち大雅がタチだったのは三つ。その中でも一番良かったのは……

「あ、あれあれ。ウケ役モデルと一緒に監禁されて、悪者から『お前達二人でセックスするように』って命令されてたやつ。あれって、ブレイズ用で考えてた企画がそっちに移行したんだよね? もしかして俺があのウケ役さんになってたかも、って思うとちょっとドキドキしたなぁ」
「………」

 黙ったままの大雅に嫌な予感がして、俺は焦りながらも全力のフォローを付け足した。

「でも実はチャプター全部すごく良かったよ? 敢えて言うなら、俺個人としてはウケ役に感情移入できるあのVが良かったってだけで……。大雅はウケでもタチでもカッコいいし綺麗だし」
 膝を抱えた大雅が、俺を見上げて口を尖らせる。

「ウケ役に感情移入できないはずなのに……竜介も、それが一番良かったって言ってた」
「そうなんだ? でも竜介さんは、可愛い子同士が絡んでるのを見てほっこりしただけじゃない?」
「……竜介は俺がタチやってる時の方がエロいって言ってる」
 ──うーん、竜介さんとは良い酒が飲めそうだ。俺は年齢的に飲めないけど。

「もしかしてそれが『相談したいこと』?」
「……ん」
「タチ専の竜介さんに『タチ役の大雅の方がエロい』って言われたってことは、自分がウケとして見られてないんじゃないかってこと?」
「………」

 思わずニヤニヤしてしまいそうになるのを必死で堪える。
 大雅の恋する乙女みたいな悩みが可愛くて、そのふわふわ金髪を思い切り撫で回して抱き付きたくなってしまうじゃないか!