ラブ&サンドイッチ!

 朝からの撮影がようやく終わって、午後三時。
 体のあちこちがだるくて今すぐにでも眠ってしまいたいほど満身創痍なのは、今日の撮影のタチ役が潤歩さんだったせいだ。

「全っ然、手加減してくれないんだもんな……」
 AVモデルになって少し経ち、だいぶ慣れてきたとはいえど。潤歩さんとの絡みの後で必ず残る尻への異物感はしばらく収まりそうにない。

 ともあれようやく撮影が終わり、仕事を気にせずがっつり食事ができる。「満腹からのベッドで爆睡」。それこそが、ここ最近の俺の至福の時間だ。

「お疲れ様です!」
「お疲れ」
 置きっ放しにしていた私物を取りに会議室へ行くと、開いたドアの先でふわふわの金髪が揺れているのが見えた。
「大雅? 今日は写真だけって聞いてたけど……まだ残ってたんだ?」
 俺と同い年で、俺にとって綺麗なお兄さんでもあり可愛い弟でもある大雅。机の上で曲げた腕に顔を伏せていた大雅は、部屋に入ってきた俺を上目遣いに見つめている。

「どうしたの、竜介さん待ち?」
「ううん。亜利馬のこと待ってた」
「そっか、それじゃ待たせちゃったんじゃない? 何か食べて帰ろうか?」
「……だめ」
「ん?」
 机から身を上げて立ち上がった大雅が、傍にあった俺の私物──というかコンビニで買っておいたお菓子とジュースの袋を持って、こちらにやって来る。

「亜利馬はもう少し食事するの待って欲しい」
「なんで?」
「……相談したいこと、あるから」
 抑揚のない声と無表情がデフォルトの大雅だが、そのクールな外見とは裏腹に心の内は意外に繊細であることは知っている。それでも大雅の方から「相談したい」なんて言い出すのは稀なことだ。

 俺は少し驚きながらも相談相手に選ばれたことが嬉しくて、やってきた大雅の手を取り「俺で良ければ!」と真剣な顔で頷いた。