亜利馬の恋愛シミュレーション@ブレイズ

「獅琉さん! 何してるんですか?」
「恋愛シミュレーションゲームだよ。今この『ヨウタ君』てイケメンを落とすのに苦労しててさ」
 午前中の写真撮影を終えて会議室に入ると、獅琉が真剣な顔でスマホを見ていた。
 恋愛シミュレーションゲーム。乙女ゲームのことだろうか?

「獅琉さん、女の子の役になってるってことですか?」
「うん。主人公が男で、相手のイケメンも男っていうアプリはあんまりないよね。面白いと思うんだけどな」
 画面の中では金髪の王子様がこちらに向かって「今夜の予定は?」と聞いている。選択肢は「空いてます」「今夜は用事が」の二通りだ。
「この人と付き合いたいなら、『空いてます』を選べばいいんじゃないですか?」
「うーん……そうだよねえ。実際に俺もこのシチュエーションになったら、二つ返事でそう答えると思うし」
 獅琉は予定を聞く方だろうなと思いながら、俺は隣に座って一緒に画面を覗き込んだ。
「あっ」
「空いてます」の選択肢をタップした瞬間、王子様が「知り合ったばかりの男の誘いに、簡単に乗ってはいけないな」と言い出した。自分が誘ったくせに。

「ああ、好感度が下がっちゃった……」
「す、すいません獅琉さん。でもこんな男、こっちから願い下げですよ。獅琉さんにはもっと素敵な人がいますって」
 意気消沈している獅琉が、キャラクタープロフィールの画面を開く。
「ほら、この『ジェイクス』なんてカッコいいじゃないですか。外国人男性は情熱的なはずですよ」
「この彼にも昨日フラれたんだよねぇ。がっついてるって言われた」
「あら」
 獅琉って実は、恋愛下手なんだろうか。

「ブレイズの恋愛シミュレーションゲームが出たら、一番攻略が難しいのって誰ですかね? 大雅かな?」
「あはは。大雅はきっと簡単だよ。やっぱり竜介が一番難しいんじゃない?」
「鈍感で天然なキャラなのに加えて、心に決めた人がいますもんね。難攻不落じゃないですか」
「そうそう、竜介は絶対に攻略できないキャラなの。でもユーザーにはそれを秘密にしてて、好感度アップの課金アイテムをバンバン買わせたりね」
「そ、それは最低なアプリ会社になっちゃいますね……普通に消費者庁案件です」

 恋愛ゲームってやったことないけど、もしもブレイズで作るとしたらどんな感じになるだろう……。