HAPPY DAY -5-

 食べるのが勿体ない。いつまでも見ていたい。そう思っていたのに突然潤歩が俺の手からチョコの箱を取り、テーブルに置いた。
「いつまでも見てんじゃねえよ」
「チョコに嫉妬してるんですか?」
「んな訳ねえだろ」
 つり上がった目が至近距離で俺を睨む。いつもの仏頂面なのに、こんなに近くで視線を合わせるとどうしても体が熱くなって、胸が期待に高鳴りだして……

「………」
 少しだけ頭を傾げながら、潤歩が俺の肩を抱き寄せる。目を閉じれば唇が押し付けられる感覚があって、心地好さに思わず笑顔がこぼれた。
「……照れるけど嬉しいです」
 こういう時にキスの先をねだるのは俺の役目だ。
 潤歩ががっついている時は問答無用で押し倒されるけど、こんな風に良いムードの時は俺のしたいようにさせてくれる、そんな優しさも持ち合わせている男だなんて、出会った頃は想像もしていなかった。

「潤歩さん」
 その体に思い切り抱き付き、大好きで仕方ない潤歩の胸に頬擦りをする。仕事後にシャワーを浴びたからかシャンプーの爽やかな匂いがして、何だかチョコよりもずっと甘く感じた。
「がっついてんじゃねえぞ」
「たまにはいいじゃないですか? 俺からがっついても」
「こういう時のお前は、後でロクなことにならねえからな。気絶したりよ」
 それでもいいから、今すぐ抱いてもらいたい。我慢できなくてじっと潤歩を見つめると、観念したように噴き出した潤歩が俺の頭を撫でて「分かったっつうの」と立ち上がった。

 そのまますぐ後ろのベッドに座った潤歩を見て、俺も床に座ったままベッドに上体を乗せる。
「へへ。潤歩さんのベッド!」
「か、嗅ぐなクソガキ! 早よ上がれ」
 いそいそとベッドに上がって仰向けになれば、すぐに潤歩が覆い被さってきて唇を塞がれた。
「ん、……ん」
 今度のキスは触れるだけじゃなく、さっきのよりずっと深いやつだ。入ってきた潤歩の舌はチョコの味がして甘い。しがみつくように両腕を回せば、心地好くて温かくて頭の中がとろけそうになった。
「んぁ……」
 撮影の時とは違う触れ方。台本もないし流れも決まっていないセックスは照れ臭いけど、潤歩に触れられればすぐに恥ずかしいのが愛しい気持ちに変わる。

「あっ……」
 首筋に這う舌も、服の中を弄る手も、息使いも、全部が愛しい。このまま潤歩の熱でとろけて、彼の中に取り込まれてしまいたい──。