亜利馬、人生最高の1日 -5-

「潤歩袋」には、潤歩チョイスのプレゼント達が闇鍋状態で入っているのだという。パッと目に付くものだと、ちょっと派手なロック風のパーカー。これは普通に嬉しい。
「小さい箱って、何か逆に開けるのわくわくするなぁ」
「婚約指輪っぽいね」
 テーブルに置いた小箱の包装を慎重に剥がし、出てきた四角いケースの蓋を開ける。
「ほ、本当に指輪ってことは……」
 竜介が呟き、俺の心臓が高鳴った。
「………」
「……ナニコレ」
 蓋を開けて出てきたのは、小さなひょっとこのお面を付けたアマガエルの置物だった。
「えっ、縁起が良いらしいぜ! 玄関に飾れよ亜利馬!」
「やだー、可愛いじゃ~ん!」
 ゲラゲラと笑う潤歩に、無理矢理盛り上げようとしている庵治さん。嬉しくない訳じゃないけれど、こういう反応に困るものをチョイスするところが実に潤歩らしい。

 他にもどう考えても使うことができない草履や、ゲーム機がないのにゲームのソフトや、人気漫画の「二巻だけ」などのネタ寄りなプレゼントが続いた後で、ようやく潤歩がプレゼントの目玉として入れておいてくれたシルバーのブレスレットが出てきた。
「わ、カッコいい……!」
「俺様とお揃いのイイヤツだぞ。失くしたらぶっ殺すからな」
「うっわぁ、ありがとうございます潤歩さん!」
「お揃い」
「お揃いだって」
 後ろでひそひそと話す獅琉達に気付いた潤歩が、真っ赤になって「うるせえぞ!」と怒鳴った。

 ケーキを食べて、深夜営業もやっているピザ屋さんで注文したピザを食べて、成人組はビールを飲んで、俺がド新人だった頃の話で盛り上がって、動画にはならないけれど、他メンバーのプレゼントに歓声を上げて……本当に、最高の誕生日を迎えることができた。
「……皆さん、ありがとうございました。俺ずっと、一生、今日のこと忘れないです。勘違いでインヘルに入った俺だけど、今ではあの選択をした自分を褒めてやりたいくらい」
 初めて紹介された獅琉の優しさにホッとした瞬間。怖くて仕方がなかった潤歩。素っ気なかった大雅の態度に、尊敬の念しか感じなかった竜介の兄貴らしさ。出会った日のことも、今日のことも、その間にあった色々なことも忘れない。

 全部全部、忘れない──。

「おい、一応はめでたい日なんだから泣いてんじゃねえぞ。湿っぽくなるだろうが」
「ごめ、なさい……嬉し涙だから、許して……」
「俺達の方こそ、亜利馬と出会えて良かったよ」
「や、やめて下さい獅琉さん、余計泣いちゃうから……」
「俺も亜利馬と友達になれて良かった。ありがとう、亜利馬」
「大雅ぁ……」
 みんなの顔がニヤついている。俺が泣くのを面白がって、わざと暖かい言葉をかけているのだ。こんな時でも遊び心を忘れないメンバー達。悔しいけど嬉しい……涙が止まらない。

「亜利馬大好きだよ。有栖くんじゃないけど、俺達の大事な亜利馬。おーよちよち、たっぷりお泣き」
「し、獅琉さんっ! も、もういいですからやめてくださいって……!」
「はっはっは、赤パンダになってるぞ亜利馬!」
 もちろん、そんな瞬間もばっちり撮られている。最後にファンの人達へのメッセージを撮って、一旦撮影は終了となった。