ブレイズ、素敵な冬休み! -6-

 伏せられた五十二枚のトランプを囲む形で座った俺達は、リーダーの獅琉からブレイズのナンバー順にカードを捲っていった。獅琉、潤歩、竜介……そして大雅。一巡目は誰も絵柄を揃えられない。
「7さっきあったな。1も出ただろ」
 ……良し。
 俺は今みんなが捲ったカードの絵柄と配置を全て記憶していた。7はあそこ、1はここ。
「せい!」
「あ、亜利馬すごい。よく覚えてたね。2ポイントゲット」
「まぐれだ、まぐれ」

 二巡目に入ってポイントは獅琉が1、潤歩が0、竜介が1、大雅が0。
「せいせい!」
「おお、亜利馬また当てたぞ。しかも三連続」
「……すごい」
 三巡目、四巡目ときて、獅琉1、潤歩0、竜介3、大雅0。
「ずっと俺のターン!」
「こいつ、覚醒してやがる」

 結局俺の圧勝で、最終的に一番ポイントが少ない潤歩が罰ゲームを受けることとなった。一位の俺が罰ゲームの内容を指定できるというシステムだ。
「……クソが、調子に乗りやがって」
 舌打ちする潤歩に向かって、俺は満面の笑みで罰ゲームを言いつける。
「それじゃあ潤歩さん。潤歩さんが思うブレイズメンバーの『大好きなところ』を二つずつ挙げてってください」
「うっ、……ぐ、……」
「あはは、それいいね。可愛い罰ゲームだ」
 笑う獅琉の横で真っ赤になった潤歩が、缶ビールをぐっと飲み干し「あー」「うぅー」と顔を顰めて考え込んでいる。

「潤歩さん。あと五秒以内に始めないと三つずつ挙げてもらうことになりますよ」
「分かったっつうの! えーとアレだ。……獅琉はストイックなところ、リーダーシップがあるところだろ。大雅は大人しくてうるさくねえとこ、一途なとこ。竜介は面倒見が良くて、明るいとこ」
「……潤歩、顔真っ赤」
「う、うるせえぞ大雅!」
「じゃあラストは、亜利馬の大好きなところだね」
 ニヤニヤしながら潤歩を見つめる俺。潤歩はあぐらをかいた膝の腕で拳を握り、俺を視線で殺す勢いで睨みながらその口を開いた。
「亜利馬は、……クソドジだけど頑張ってるところは認める。あとはド阿呆だけど素直なところ、だ」
「………」
「静まり返るんじゃねえ!」
「潤歩は頑張り屋さんで素直な亜利馬が大好きなんだね。あはは」
「うううるっせえ、ぶっ殺すぞ獅琉!」

 俺は「へへ」と気色の悪い笑顔を浮かべながら、赤くなった頬を手のひらで擦った。今回俺が考えた罰ゲームは「メンタル凌辱」。だけどその回答で俺自身が赤くなってたんじゃ意味がない。

「ほれ、さっさと次のゲームを始めろってんだ! 亜利馬、てめぇは次で罰ゲーム覚悟しておけ」
「じゃあ次はあれやろうよ。7、5、3ってやつ」
「七五三? 何ですかそれ?」
 獅琉がシャッフルしたカードの山を伏せて床に置き、ぐるりとずらして大きなドーナツ状の輪を作る。

「順番に好きな所から一枚捲って、真ん中の輪の中に置いてくの。その途中で7か5か3が出たら、カルタの要領で一番早く取った人の勝ち。それまでに溜まったカードはその人の物になるよ。お手付きしたら、その時点で持ってたカードを全部返却。最終的にたくさんカードを持ってた人の勝ち」
 とにかく7、5、3が出た瞬間に誰よりも早く取れば良いということだ。すなわちこれは瞬発力が試されるゲーム。自信はないけれど……ぼんやり系男子の大雅がいてくれる分、俺が最下位ということはないだろう。

 大雅には悪いけれど、ここは犠牲になってもらうしか……!