亜利馬、ぶるぶる -3-

「わ、結構高いね」
 横に広い滑り台は、メンバー全員で一斉に滑ってもまだ余裕がありそうだ。竜介と大雅もやってきて、俺達は五人横並びになって滑り台の頂上から下を見下ろした。

「ちょっと怖い気がする」
 大雅が呟いた。
 俺も正直言って少し怖い。こんなに高いと思っていなかったのだ。子供用だからと甘く見ていたせいで余計に怖くなってくる。さっき潤歩が腹ばいで滑っていたけれど、あんなのとても俺には出来そうにない。
「そこまで急じゃねえし、やってみりゃあ大したことねえよ。落下地点も柔らかい砂場になってるし」
 潤歩がポンポンと大雅の頭を叩いて笑った。
「そんなに怖いなら竜介と手でも繋いどけ」
 俺も許されるなら誰かに手を繋いでもらいたいけれど、ここでそれを言えばまた子供扱いされて笑われるに違いない。
「スケボーとか持ってくれば良かったかな」
「獅琉さん、命知らずですね……」
「俺こういうの好きだからさ。じゃあ皆でせーので滑る?」
 そうしてくれると有難い。みんなが横にいてくれるなら何とか頑張れそうだ。

「亜利馬、うつ伏せになって滑れ」
「えぇっ? さっき潤歩さんがやってたやつですか? 怖いですよ!」
「体に触れる面積が多い分、その方が安定するぞ。普通に座って滑るよりむしろ怖くねえって」
「本当かなぁ……」
 どうにも信用ならないが、確かに腹ばいで行けば着地した時に尻へ衝撃が来ることもない。なるほどと思って俺は頂上でうつ伏せになり、じりじりと進んでなるべくゆっくり滑ろうとした──のだけれど。
「早よ行け」
「わっ、……うわあぁぁっ?」
 突然潤歩に足を掴まれ、そのまま勢い良く押し出されてしまった。
「いやあぁっ! 死ぬううぅ──っ!」
「よし、亜利馬に続け!」
 顔面に物凄い風圧を感じる。涙が猛スピードで置き去りにされて行く。目を閉じる訳にもいかず、俺はスーパーマンのような恰好で情けない悲鳴を上げながら、成すすべなく悪魔の滑り台を滑って行った。

「あうっ」
 ようやく体が砂場に落ちて止まり、生きてて良かったと寝たままの体勢で溜息をつく。
「亜利馬、危ない!」
「え? ──やあ、あぁんっ!」
 振り返る間もなく、尻に強烈な衝撃が来る。続けて二度、三度……四度。
「ふ、あっ……やめて……! 何なんですかっ、あぁっ……!」
 みんなして俺がいる場所を目指して滑ってきたものだから、俺の体は今や四人の下敷きだ。顔に砂がつくし息苦しいし重いしで、最悪の状態になっている。

 しかも。

「ひっ……?」
 このタイミングでリョウさんがスイッチを入れてきた。俺の中でぶるぶるとローターが震え出し、更に上から圧迫されているせいで丁度気持ち良いところに当たってしまう──
「あっ、あ、ん……」
「亜利馬、大丈夫? ごめんね痛かったでしょ」
「ん、……や、だいじょ、ぶです……」
 物理的な衝撃よりも内部でソコを震わせる刺激の方がずっと大きくて、俺の顔はもう真っ赤だ。せめて前だけは反応させないようにグッと堪えて拳を握る。
「て、ていうか、それよりも……潰れそう、ですっ……」