亜利馬、カメラを回して目も回す -8-

「あ、……あ、う! もうイッちゃ、……イッちゃい、ます……!」
 正面の大雅が俺のそこを扱きながら、ちらりと潤歩を見た。
「もうイくのかよ亜利馬、早漏小僧」
「だって、だって……こんなのっ!」
「亜利馬、俺の顔見ながらイッて」
 大雅が目の前で柔らかく微笑む。涙で殆どぼやけているけど、俺は言われた通り大雅の綺麗な目を見つめながら体を震わせた。

「──ああぁっ!」
 後ろから潤歩が腰をぐりぐり押し付けてきて、思わず大雅の体に抱き付いてしまう。背中が反り、反った分だけ突き出された胸の乳首を竜介と獅琉が愛撫する──俺の耳を犯しながら。
「はっ、あ……! あぁ、イ、く……!」
 真上からカメラが寄ってきて、俺のとろ顔が二秒、三秒と収められていった。

「はあぁ、ぁ……」
「オッケーです!」
「お疲れ様です!」
 全身から力が抜け、俺は大雅の方へぐったりと体を倒した。
「ほっぺた、リンゴみたい」
 大雅が俺の頬にキスをする。俺はもう何かを言う力もない。恐らくここで画面には「亜利馬逆ドッキリ終了!」のテロップが出るのだろう。
「ほえ……」
「亜利馬、サプラーイズ!」
 最後に獅琉が言って、四人がカメラに向かってガッツポーズを取る。
「………」

 ──もうドッキリ企画はこりごりだ。

「亜利馬。お菓子買ってきたけどどう? 新作マドレーヌだって」
「わっ、美味しそ──じゃなくて、要りませんっ!」
「亜利馬。お前が見たがってた映画、ワゴンで売ってたから買ってきてやったぞ」
「ほ、本当ですか竜介さん、──じゃなくて、要りません!」
 その後しばらくはドッキリが怖くて、全てに対して警戒してしまう羽目になった。
「うーん、亜利馬の性格が捻じ曲がってしまった」
 獅琉のぼやきにもツンとそっぽを向いて、自分で買ってきたお菓子を頬張る。

「よし、最後の手段だな。──亜利馬」
「何ですか」
 竜介がスマホを操作し、画面を俺に見せる。
「ああぁぁぁあっ……!」
「どうだ、可愛いだろう? 三毛猫の赤ん坊が今度ウチに来ることになったんだ」
 ブチ柄が入った、ふわふわの毛玉のかたまり。まん丸の大きな目でこちらを不思議そうに見ている、三毛猫の赤ちゃん──。
「家や先住猫に慣れたら、亜利馬にも抱かせてやるからな」
「うわあぁ、ありがとうございます竜介さんっ!」
 ニカッと笑う竜介。
 ホッと胸を撫で下ろしている獅琉。

 かくして単純な俺は仔猫に免じて元の性格に戻ることにし、また平穏な俺達の毎日が戻ってきた。

 後日竜介の家に行った際にドラ猫のコスプレをした潤歩が「俺が猫の赤ちゃんだぜ!」と飛び出してきて皆から総スカンを喰らうことになるのだが、それはまた別のお話。