ブレイズ、みんなで竜介をお祝いする -2-

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「聞いてる聞いてる。竜介のデビュー記念日でしょ。大雅が張り切ってるから俺達はそっとしておこうとも思ったんだけど、やっぱブレイズメンバーとしてそういう訳にはいかないよね」
 記念日大好き獅琉が、彼の部屋である505号室に集まった俺と潤歩の顔を交互に見て言った。
「俺達も俺達のやり方で、お祝いしよう!」
「どうせ飲みだろ」
 素っ気なく言った潤歩の肩を抱き寄せて、獅琉が人差し指を振る。
「今回はホームパーティー形式の方が、身内感があって良くない? 飲み会も捨てがたいけど、やっぱ五人だけで過ごしたいしさ」
「お前ほんとパーティー好きだな。まぁ俺はどっちでもいいけどよ。美味い飯と酒が飲めるなら」
「獅琉さんの手作り料理ならハズレ無しですもんね。俺もホームパーティーに賛成です!」

 だけどね、と獅琉がちょっとだけ悪戯っぽく笑って言った。
「俺達はあくまでも第三者。主役は竜介と大雅だよ。この二人が良い雰囲気になるように、俺達は演出をしつつ陰ながら見守るってわけ」
「だ、大丈夫かよ? 大雅の奴、俺らが余計なことしたら怒るんじゃねえのか」
「あからさまに二人をくっつけようとするんじゃなくて、さりげなく気遣ってあげればいいんだよ」
 これぞ友情だなぁと思った瞬間、俺はとんでもないことに気付いた。今まで一度として聞いたことのない、そして今回そんなパーティーを開くなら、一番重要なものとなる部分。

「あ、あの……」
 俺はおずおずと手をあげて、獅琉と潤歩に訊ねた。
「なに、亜利馬?」
「あの、……竜介さんて、大雅のこと、好きなんですか?」
「え? そりゃ好きでしょ」
「そうじゃなくてその、ちゃんとした恋愛感情を持ってるのかというか……。だって俺達の中でこの二人って、『竜介さんにべた惚れしてる大雅と、それに全く気付いてない天然の竜介さん』ってイメージじゃないですか。……万が一、本当に万が一ですけど、竜介さんに他に好きな人がいたとしたら……」

 二人が押し黙り、俺はゴクリと喉を鳴らして唾を飲んだ。……まさかこれまで考えもしなかった問題がここに来て浮上し、一気に場が暗くなる。
「まさか、そんな訳ねえだろ。あの竜介に限って」
「そ、そうだよ亜利馬。竜介と大雅ほどお似合いの二人はいないって」
「それって俺達がそう思ってるだけじゃないですか」
「………」

 大雅と竜介は確かに仲良しだし、プライベートでセックスしているのも知っている。だけどそれは大雅があれこれ口実を作ってしているだけで、恋人間におけるそれではない。
 俺はブレイズの皆が大好きだけど、それは「家族」「兄弟」みたいな意味での「好き」だ。獅琉や潤歩も同じで、俺達の間に恋愛感情はない。
 今のところはっきりと恋愛感情が生まれているのは、大雅の竜介に対する気持ちだけだ。

「……えーと、あいつのデビュー日まであと何日だ」
 潤歩が頭を抱えて言った。
「確か、あと二週間くらいかな……」
 獅琉が同じポーズでそれに答える。
「それまでに、いっちょ探りを入れる必要があるな」
 俺達は顔を見合わせ、頷いた。