ブレイズ、悪に立ち向かう!

大雅(たいが)9/29生まれ 18歳
好きな男性のタイプ:自分を分かってくれる人
最近はまってるもの:茶トラ猫のグッズ集め
「こう見えても頑張ってる。俺を見てくれてありがとう」

 風にはためくチェックのミニスカート、低い所で縛ったツインテール。
 俺は今日から通うことになったこの「私立ブレイズ男子高校」の正門に立ち、炎の形を模した校章のエンブレムを睨み据えた。

 ──ここに俺の兄貴が通っていた。
一年前に行方知れずとなってしまった、大切な俺の兄貴が。

「転校生の亜利馬だ。仲良くするように」
 不良の多い高校とは聞いていたけれど、まさかこれまでとは。制服を気崩し、髪を染め、行儀悪く座っている生徒達──俺に向けられる視線は敵意の籠ったものからいやらしいものまで様々だ。
「何で女の恰好してんだ?」
 早速野次が飛んできて、そうだそうだと次々に声があがった。教師がそれを制し、俺に最後列の窓際の一つ隣の席へ座るよう促した。

「よろしく。俺は潤歩だ」
 窓際の席に座っていた男がニヤついた目で俺を見る。紫色の頭。ネクタイはただシャツに引っかけているだけ。上履きの踵はぺらぺらで爪には黒のマニュキュアが塗られ、耳にも唇にもピアスが付いている。
「ここでは俺がボスだ。俺に逆らう奴は容赦なく制裁を受けることになる」
「………」
 無視して教科書を机の中へしまっていると、潤歩と名乗った不良生徒が俺の髪を軽く引っ張って言った。
「何でこんな恰好してんだよ? お前の趣味か?」
「……関係ない」
「言っただろ、俺に逆らう奴は制裁を受ける」
「やってみな」
 睨み合う俺と潤歩の間を割るように、俺の一つ前の席でこちらを振り返った男が朗らかな声をかけてきた。
「いいじゃん別に。似たような不良男子が多い中で、一人くらい女装少年がいたってさ」
「うるせえ、口を出すな獅琉」

 獅琉と呼ばれた生徒がニコニコと俺に笑いかけながら、なおも続けた。
「ごめんね。俺は獅琉。この学校で生徒会長をやってるんだ。困ったことがあったらいつでも言ってよ」
「………」
「亜利馬くん、本当に女装? 本物の女の子だったりして」
 獅琉の長い指が俺の頬に触れる。俺はそれを払い除け、獅琉の目を真っ直ぐに見て言った。
「俺は兄貴を探している」
「え?」
「一年前に行方不明になった兄貴だ。手がかりを探していたらこの学校に辿り着いた」
 捜索願を出しても警察は兄貴を不良と決めつけて、この年頃は突発的に家出をしたくなる子が多いからと、真剣に探そうともしてくれない。
 俺には唯一無二の兄弟で、大好きな家族だ。俺のことも両親のことも心から愛してくれていた兄貴が、家族に何も言わず家出なんてするはずがなかった。独自に調べた結果、兄貴がこの学校に転校してから何かが起きたと確信したのだ。

「この学校の校長の噂は耳にしている。表には出ていないが、男好きで有名なんだろ。生徒に女装させた写真を集めるのが趣味だとか」
「校長先生が、亜利馬のお兄さんの失踪に関係しているってこと? だからこんな恰好してるの?」
「それをこれから調べるつもりだ。生徒会長とボスなら、俺に協力してくれ」
「いいよ、俺達にできることなら──」
「協力には見返りがあるんだよな?」
 潤歩が身を乗り出し、俺の顎に触れた。
「女には興味ねえが、そのスカートから覗く美味そうな太股には興味がある」